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ロワール川流域のワイン(Val de Loire)

1.ロワールワインの産地

ロワール川はフランス最長の川で,フランス南部のセヴェンヌ山脈から大西洋まで全長1,000kmに達しています.ロワール川中流部から河口にかけての地域が,ロワールワインの産地です.気候・土壌などの自然条件により,多彩なワインが生産されています.ロワールで生産されるワインの約5割が白ワインで,ロゼワインと赤ワインが2割程度です.ロワールワインの産地は次の4地域に区分されます.

ロワール川流域のワイン(Val de Loire)

1.ナント地域

ナント地域は河口付近にあるナント市を中心としたワイン産地です.ここでは白ブドウのミュスカデ種だけを使った白ワインが生産されています.特徴的なのはシュール・リーと呼ばれる方法で作られるワインです.シュール・リーはおりびきをしないでビン詰めをします.そのためビン詰め後もわずかに醗酵するため,出来上がったワインは微量の炭酸ガスを含んだものとなります.飲んだときに炭酸ガスのわずかな刺激があり,さわやかな感じがするので,生カキや刺身など魚介類と良く合うワインです.日本にも輸入されていて入手は容易です.

2.アンジュー・ソーミュール地域

アンジュー・ソーミュール地域はアンジェ市からソーミュール付近にかけてのワイン産地です.様々な種類のワインが作られていますが,ここで有名なのはロゼワインで,フランス3大ロゼワインの一つです.ロゼワインにもいくつかのタイプがあり,高級品はカベルネフラン種だけで作られるカベルネダンジューです.その他のロゼワインで一般的にやや甘口のものはロゼ・ダンジュー,辛口のものはアンジュー・ロゼと呼ばれガメー種などの普通の品種のブドウが使われています.
コトー・デュ・レイヨン地区シェナン・ブラン種完熟ブドウや貴腐葡萄で作られる甘口ワインは,高い評価を受けています.
ソーミュール地区では主に白ワインが作られていますが,発泡性のワイン,ソーミュール・ムスーが人気です.果実風味のあるもので値段も手頃です.日本でも時々見かけます.

3.トゥーレーヌ地域

トゥーレーヌ地域はトゥール市を中心としたワイン産地です.ここでは様々な種類のワインが作られています.ソーミュールの町の近くにあるブルグイサン・ニコラ・ドゥ・ブルグイではカベルネフラン種を使った,軽くフルーティーな赤ワインが作られています.ロワール川をはさんでブルグイの対岸にあるシノンでもブルグイと似た様な赤ワインが生産されています.
トゥール市の東にあるヴーヴレー地区は2000haの広大なブドウ園があります.ヴーヴレーではシェナン・ブラン種から白ワインが作られていて,その55%が発泡性ワインのヴーヴレー・ムスーです.炭酸ガス圧が高くフルーティーなので人気があります.

4.中央フランス・ロワール川上流地域

フランス中央部にあるワイン産地で,規模の小さい地区が点在しています.ロワール川右岸(東側)には有名なプイィー・フュメプイィー・シュル・ロワールがあります.プイィー・フュメプイィー・シュル・ロワールソービニオン種から作られる辛口の白ワインです.プイィー・フュメの北側にはコトー・デュ・ジェアノアのブドウ園があり,白ワイン・赤ワイン・ロゼワインが作られています.コトー・デュ・ジェアノアは1998年にA.O.C.に認定ざれました.
ロワール川左岸(西側)にはサンセール地区があります.サンセールは白ワイン・赤ワイン・ロゼワインのAOCを持っています.ソーヴィニョン種から作られる辛口の白ワインが有名で,生産量の8割を占めています.ピノノワール種から作られる軽い赤ワインの生産量は約15%,ロゼワインは約5%です.
サンセール地区の隣にはメヌトゥー・サロン地区があります.メヌトゥー・サロンは白ワイン・赤ワイン・ロゼワインのA.O.C.を持ち,サンセール地区と似たワインを生産しています.白ワインが全体の生産量の約6割を占め,残りの大部分は赤ワインで,ロゼワインの生産量はわずかです.
ブルージュ町の西側,シェル川の左岸にはカンシー地区があります.カンシーではソーヴィニョン種から作られる辛口の白ワインが生産されています.大部分がフランス国内で消費され,輸出に回されるのは2割ほどです.
カンシー地区の西側には,ルイィ地区があります.ルイィは白ワイン・赤ワイン・ロゼワインのA.O.C.を持っています.ソーヴィニョン種ピノ・グリ種から作られる辛口の白ワインが全体の5割を占め,3割が赤ワイン,残りがロゼワインです.ルイィ地区のワインも大部分がフランス国内の消費に回されます.